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とある小さな会議室で…

ここはイングランドの西に位置する港町、ブリストル。

マンチェスター・シティの44年振りの劇的なプレミア制覇から
およそ1年ほど前、
この町の、とある小さなサッカークラブの会議室では、
重要な会議が行われていた。

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239_02.jpg「会長!昨シーズン、チャンピオンシップの昇格を置き土産に勇退なされた前監督の後任は、まだ決まらないんですか!?
このままでは今季の計画も、チーム編成も何も決められませんよ!」

239_03.jpg「…。分かってる。しかし、なかなかうちのような、金銭的に厳しいクラブでは有名な監督を引っ張ってくるのは難しくてな…。」


239_05.jpg「ここ一週間、リストアップした監督に当たってみましたが、なかなかいい返事がもらえないのが現状です…。」

会議室は、静まり返ってしまった。

どれくらい時間が経っただろう…。
そんなとき、会長が口を開いた。

239_03.jpg「…、奴を…呼ぶか。」

239_02.jpg「奴って…。まさか、日本にいる彼ですか?」

239_03.jpg「あぁ。奴なら金銭的には多少融通が効くし、私たちクラブのことも、ある程度分かってくれるだろう。」

239_02.jpg「たしかに彼のことは、会長から何度か聞いてはいましたが…。日本ではある程度の評価を受けてるのかもしれませんが、世界的には全く無名の監督ですよ!」

239_03.jpg「たしかに奴は世界的には無名だ。だが、面白いじゃないか。クラブ史上初めてチャンピオンシップに昇格する我らブリストルユナイテッドが、全く無名の新人監督のもと、新しい挑戦をする。こんなにワクワクすることはないだろう!
すまんがすぐに日本に飛んでくれないか?奴には私の方からも連絡を入れておく。」

239_02.jpg「…。分かりました…。クラブにとって、それが最善の道かどうかは分かりませんが、日本に行くからには、必ず彼をこのクラブに連れて来てみせます!」

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239_03.jpg「よろしく頼む。」
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[ 2012/05/15 ] プロローグ | TB(0) | CM(28)

ブリストルの地に降り立った、ひとりの日本人

「はぁー!着いたー。」

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日本を発って約15時間。ロンドンの空港を経由して、ブリストルの大きな国際空港に着いた僕は、大きく背伸びをして言った。

一週間前までは、まさかイングランドで監督をやることになるなんて思いもしなかった。
それが突然、ある人からの電話で、状況が一変した。

239_03.jpg「明日、お前のもとに、ある男が尋ねてくる。お前はそいつと一緒にこっちに来い。最高に刺激的な時間をプレゼントしてやる!」


全く、あのじいさんはいっつも勝手だ…。ブツブツ(*´Д`)

239_02.jpg「ん?何か言いましたか?」


そして僕は、この変なおっさんに連れてこられた…。(*´Д`)


239_02.jpg「さ、さ、ここからクラブハウスまでは近いですから。タクシーで行きましょ。」


タクシーで20分ほど走ると、森の中に、クラブハウスとサッカーグラウンドが見えてきた。どうやら目的地に着いたようだ。



タクシーを降りると潮の匂いがした。海が近いようだ。そういえばブリストルはイングランド有数の港町だった。

クラブハウスの玄関に人影が見えた。一人はスーツを着た若い男。もう一人はトレーニングウェアを着たコーチだろうか?
そしてその2人の間に、僕に連絡をよこしてきた張本人が立っていた。


239_03.jpg「よーう。よく来たな。久しぶりだな。元気か?」

「じいさん。俺はまだ日本で修行中の身だよ。いきなり監督なんて早すぎるよ。」

239_03.jpg「まぁ、そう言うな。わしゃ、いつかお前をこっちに呼び寄せようと思っとったんじゃ。我々は今季から、チャンピオンシップを戦うんだ。願ってもない、いい機会じゃないか。」

はー、まったく。

239_03.jpg「紹介しよう。彼がこのチームのヘッドコーチを務めるジェルピンスキだ。クラブのことで、わからないことがあったら彼に聞くといい。」

僕は隣のトレーニングウェアの男性を紹介された。

240_01.jpg「よ、よろしくお願いします、監督。」

そう言って彼は手を差し出した。口調は落ち着いているものの、僕と会長のフランクなやりとりに、驚きを隠せないのか、明らかに目は僕のことを怪しんでいる…。僕のことを何者かと思っているんだろう…。

240_01.jpg「早速監督室にご案内します。監督には今季チームを編成するにあたってやって頂きたい仕事が山のようにあります。今日から早速片付けていきましょう。」

ジェルピンスキはスタスタとクラブハウスの中に入っていった。僕はドギマギしながら彼を追った。

239_03.jpg「おーい!明日は午後から監督就任の記者会見があるからなー!忘れるなよー!」

背中に会長の声が響いた。

「はぁっ!?(;´Д`)」
僕は思わず振り返った。記者会見っ!?

240_01.jpg「監督!こちらです!」

僕はアタフタしながらジェルピンスキのあとを追った。


[ 2012/05/17 ] プロローグ | TB(0) | CM(25)

ドキドキの就任記者会見

240_01.jpg「監督、就任会見お疲れ様でした。なかなか堂々とした
会見でしたよ。」

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監督室へ戻ると、ジェルピンスキは笑顔でそう言った。


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初めての記者会見は緊張の連続だった。いくら今季からの昇格チームとは言え、イングランド2部の小さなクラブに、こんなに人が集まるとは思わなかった。ほとんどが地元の記者だったそうだ。

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緊張で会見の内容はあまり覚えてない。(; ̄O ̄)
ただ、やっぱりアジア人監督、それも30そこそこの若い監督というのは珍しいらしく、いろいろと質問も投げかけられた。
ブリストルに来た感想はどうか?
今季参戦するチャンピオンシップでは、同じブリストルを本拠地とする、ブリストルシティとのダービーもあるが?
など、中には地元記者らしい質問もいくつか飛んだ。

240_01.jpg「会長も、満足気でしたね。」


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まったく、あのじいさんは、会見中も、イングランドのサッカーに旋風を巻き起こすとか、ダービーはすべて勝つとか、無責任なことばっかり言いやがって…。こっちの気も知らないで…。


240_01.jpg「明日からは選手が合流して、クラブでキャンプを行う予定です。いよいよ、初練習が始まりますね。選手のリストは先日渡していると思います。まぁ全員の特徴を把握するのは難しいと思いますが、せめて顔と名前と背番号ぐらいは頭に入れといてくださいね。」

「分かりました。」
と、言いながら、僕は選手のリストに目をやった。

果たして、彼らはどんな選手たちなのか、紙ペラの情報だけでは分からないところもある。明日からの練習が楽しみだ。

240_01.jpg「それでは失礼します。」

ジェルピンスキは軽く頭を下げ、退室しようとしたが…。

240_01.jpg「あ、そうそう、今クラブのスタッフで、もっぱらのウワサですよ。監督と会長の関係。会長はどうやって監督を日本から呼び寄せたのかって、食堂のおばちゃんまで話してましたよ。
会長とは、どういうご関係なんです?」

ギクーッ!( ;´Д`)
やっぱり来たか…。いつか誰かに突っ込まれると思ってたけど…。

しょうがない…。隠してたって、いつかバレるし…。でも、いいづらい…。


「………ゴニョゴニョ。」


240_01.jpg「ん?なんですか?」


「………ゴニョゴニョ…ご…、です……。」


240_01.jpg「…。ん?すいません、よく聞きとれなくて。」




「まっ、…孫…です…。(;´Д`A」



240_01.jpgなっ、なにー!!((((;゚Д゚)))))))
かっ、会長のお孫さんなんですか!?えーっ、そうなんですか!いやー、それはそれは…そうかそうか…、ハハハハ…。」


ジェルピンスキは引きつった顔のまま、監督室の扉を閉めた。

すると、しばらくして

「ハァーッ…。」

と、ドアの向こうから大きなため息が、聞こえてきた…。


とにもかくにも…、こうして、僕の監督人生のホイッスルが鳴った。

やっぱり、言うんじゃなかった…。orz


[ 2012/05/20 ] プロローグ | TB(0) | CM(20)


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